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262月 2024

宅配便と銀行のあいだ

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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(わたし)「荷物、取りに来ました」

(従業員さん)「お名前は?」

(わたし)「井上和興と申します」

(従業員さん)「はい、わかりました……。(従業員さんは荷物を探しにいく)井上さんですよね……」

(わたし)「Amazonから届いていると思います」

(従業員さん)「あーっ、3つですか?」

(わたし)「はい、確かそうです」

(従業員さん)「これですかね。あっ、間違えました。この3つですかね。確認をお願いします」

(わたし)「はい。(スマートフォンをみながら、届いていた3つのメールを開いて閉じて開いて閉じて、荷物の番号を確認)はい、この3つです」

(従業員さん)「それでは、身分が分かるものをみせてもらえますか?」

(わたし)「(免許証をみせながら)はい、これです」

(従業員さん)「ありがとうございます。それではお持ち帰りください」

(わたし)「ありがとうございます」

 

こんなやり取りのあと、段ボールに梱包された2つの荷物、紙袋に梱包された1つの荷物を抱えて、お店をでた。たぶん、だいたい合計で5kgになる荷物であった。

一緒に住んでいるネコたちのご飯をAmazon頼んでいる。いつもだと、家まで配達してもらっている。最近、2024年度から様々な荷物を運んでくれている流通業者の人たちの働き方改革があるというニュースを見た。家まで送ってもらうよりは、コンビニエンスストアや配達業者さんの営業所まで配達してもらって、自分で取りに行く方が配達業者さんにとって負担が少なくなるらしい。そのため、今回は配達業者さんの営業所まで配達してもらうこととした。このようにしたのは、今回が初めてだった。

配達業者さんの営業所に行き、従業員さんとやり取りをした。家まで荷物を配達してもらう時は、配達してくれた人とのやり取り(ドアを開けて、はんこを押して、荷物を受け取って、ドアを閉める)で終わる。営業所まで行くと、車の運転、従業員さんとのコミュニケーションをすることになった。従業員さんたちがどんなふうに仕事をしているのか、肌で感じることもできた。荷物を自分で運ぶことで、荷物の重さを体で感じることもできた。営業所に荷物を配達してもらうことによって、荷物がどのように配達されて家まで来るのか体で理解できたように思う。まだ知らないことはたくさんあるとは思うけど……。

「家に荷物を配達してもらう」ということは、改めてとても便利だなあと感じた。その一方で、この便利さを捨てることで得ることもあった。いつもと違う手間がかかることで、人とのコミュニケーション、普段身を置いていない空間の空気感、普段やってもらっていることへの感謝の気持ち、を得ることができた。もしかしたら、わずかながらでも宅配業者さんを楽にすることもできたかもしれない。

 

「これ、アプリでできるようになりましたよ。次回からはアプリで手続きをしてください」

こんなふうに銀行で言われたこともある。窓口でしか手続きができない口座を持っている。その口座の手続きを窓口で行っていたときに言われたことばである。簡便に手続きできない口座の方が無駄遣いできない環境を作ることができると思った。そのため、アプリで手続きをできるようにはしていなかった。配達業者さんの場合と違って、この便利さの捨て方は銀行の窓口の方からすると無駄な仕事だと思われたのかなあと想像した。ただわたし自身の意図もあるので、アプリで口座の手続きをしてしまうかどうかは迷っている。銀行の窓口の方に、「どうして窓口での手続きを続けているんですか?」とやわらかく聞かれたら、行動を変えようと思うことができたかもしれない。

 

 

便利さの裏側を感じることで 

 便利な状態とはどういうなんだろうか。たぶんなのだが、人の手をかけなくても世の中がそれなりに回る状態なのかなあと考えている。便利な状態ができると、人に頼ることが減る。そうすると、必然的に人とのコミュニケーションの量は減る。世の中的には、人とのコミュニケーションは大事であると言われているが、便利さも求められている。便利になれば、どのように人とコミュニケーションを取るのかを考える機会が減る。便利さも人とのコミュニケーションも両立するためにはどうしたらいいんだろうか。

(従業員さん)「○○ちゃん、どこにおるー。大丈夫?」

 配達業者さんの営業所から車に乗り込んで帰ろうとするときに、こんな声が聞こえてきた。対応してくれた従業員さんと同じ声だった。こんなことばを聞いて、「あの従業員さん、頑張ってくれているんだなあ……」とぱっと思った。便利さの裏側をどこかで感じることができると、周りの人への「ありがとう」が増えるかもしれない。

 

Author:井上 和興


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