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263月 2020

大山よもやま話

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
執筆、講演、研修、取材の依頼はお気軽にこちらからお問い合わせください。


鳥取県の霊峰、大山の麓にある大山診療所では、地域医療学講座から家庭医が派遣され、地域に根差した家庭医療を実施、地域活動や学生教育、研究なども行っています。

豊かな自然に囲まれた大山診療所には、毎日いろんな患者さんがやってきます。

会話も大事な治療のヒント

103歳のおばあさん。春にはまったく食事をとらなくなって、いよいよ「夏までもたない」とか「今月の間でしょう」……という話をしていたのですが、その後復活。

夏には「彼氏が欲しい」「あんた幾つだ」と言われたものの、35歳だと告げると、「若すぎる、50はないと」という言葉をいただき、ふられる展開に。
100歳の治療に、医療は答えを持ち合わせていない。患者さんの生き方に答えを探す日々。

糖尿病のコントロールが悪くタバコがやめられない、優しくて正直な初老の女性は、ある時、タバコをやめると宣言。

家に帰ったら家族にその旨を宣言するように話し、外来の終わりに「今日家に帰ったらなにをしますか?」と聞いたら「間食」とのこと。

道は長い。けど、正直で愛される人としての魅力はどんな病気も奪うことができないような気もする。

 

持ちつ持たれつの関係性

診療所の実習にはすでに30名近くの医学生が訪れている。
1週間の終わりに、「今週一番印象に残ったことは?」と聞いて、これまで複数の学生が、ある患者さんの方言がキツくて「面白いぐらいなにを喋っているか、まったくわからなかった」とのこと。

ちなみに個人的な大山町の困った方言ランキング第1位は、「すね」。
大山では膝のことをスネと言います。スネのこともスネと言うのですが、人によってはスネのことを「スネの下」と言ったり…….。

「スネが痛い」は一般的な患者さんの訴えですが、弁慶の泣き所、膝と足首の間ではなく、膝の痛みのこと。

雪が降っても適当にしか除雪しない自分の玄関を誰かが除雪してくれたり……。怠惰な自分の性格は治らず、感謝しながら生活する日々。

まぁ人生色々、持ちつ持たれつで何とか生きてる我々。
人の心を見つめ続ける家庭医はいい仕事だなと思う毎日です。

最後に、昨今の新型コロナウイルス騒動について。
ある人はコロネ(それは菓子パン)と言ったり、またある人は、コロナじゃなくて(ピンピン)コロリがしたいと言ったり、可愛い名前の割には厄介なコロナ問題。

手洗い、うがい、換気をこまめにして、長時間人と近い距離でいないこと。
症状のない人のマスクは基本的に不要です。マスクが必要な人は外出を控えましょう。

※ここにあげた患者さんたちは、個人情報保護のために一部内容を改変、もしくは本人/ご家族の同意のもと、ご紹介させていただいております。

 

Author: 朴 大昊


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