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226月 2022

メディアを通じて考えること

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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ドラマ、バラエティ番組、小説、漫画など、私は何かの作品に触れるたびに、その作品に関わる人のインタビューを読みたくなります。たとえばドラマをみたとき、ドラマ自体の感想の他に「なんでこのドラマを今放送するのか」「原作の小説や漫画と、映像化されたドラマとで表現や設定が変わっているのはどうしてだろう?尺の問題?出演者のイメージやスポンサーなどへの配慮?時代の要請?」「役者が悔しさをにじませるような演技をしていたけど実際はどんな感情を込めていたのか」などが気になります。そこで俳優、監督、プロデューサーなどのインタビューを探してできるだけ読みます。

もちろん僕の感想・解釈と、作り手の意図は違っている事が大いにありますし、私自身正解を求めてインタビューを読んでいるわけではありません。また関係者達のインタビューを通して、ドラマを作っている人視点での今の世相などが垣間見えると面白いです。たとえば子供向けの番組を作っているスタッフのインタビューを読んでも、今の大人達の子供に対する考え(どこまでの表現だったら子供に見せてもいいと許容しているのか、等)が窺い知れて面白いです。

 

 

様々な媒体からきちんと考え、当てはめて応用する

テレビプロデューサーの佐久間宣行さんという方がおられます。バラエティ番組を中心に活躍しておられ、元々テレビ東京の社員でありながら他局のラジオ「オールナイトニッポン」のパーソナリティを2019年から今まで務めている一風変わった経歴の方です。2021年に独立、フリーのプロデューサーとしてTVやNetflixの番組をプロデュースしたり、裏方だけではなくテレビやラジオ、youtubeに出演したりと、幅広く活動しておられます。メディア論・仕事論を分かりやすく話される印象があって、インタビューや著書をよく拝見します。真面目な話だけでなく、佐久間さん自身のお話も面白いので興味のある方はぜひ記事や本を手に取っていただければと思います。

ただ他業種で活躍しておられる方々の言葉をそっくりそのまま自分の中に取り込むのでは無く、自分の仕事や立場に当てはめて応用を効かせることが大事だと思っています。また冒頭に挙げた各種の媒体も、様々なコンプライアンスや世間に期待する反響とのすりあわせを経た上で我々の元に届いているので必ずしも現実を如実に反映しているわけではないはずです。

 

 

医療者として医療業種を扱ったメディアを見て考えること

「他業種で活躍している人々の言葉をそのまま自分の中に取り込むのでは無い」と前述しましたが、私自身は医療に関係したドラマやドキュメンタリーを見るときが一番葛藤しながら見てしまいます。

医療者をメインに据えたドラマやドキュメンタリーは、その医療者(個人または数人のチーム)を一種のヒーロー的存在として描くものが多いです。ただ実際はもっと圧倒的な現実の中で右往左往・暗中模索するようなものだと思いますし、患者さんの闘病生活も平坦な道程ではありません。バッドエンドで終わってしまう事だってあります。そこをきちんと扱わずに発信されたメッセージは、仮に受け止める側にとって感触の良いものだったとしても明日からの自分に応用できるものではないと思います。私にとっては同じ医療業種を扱ったメディア媒体に触れるときが、一番用心しなければならないときなのです。

Author:今岡 慎太郎


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