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133月 2019

時代と精神疾患

鳥取大学地域医療学講座発信のブログ「地域と医療のいま」です。
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みなさん、こんにちは。

鳥取大学医学部地域医療学講座の朴です。

今日は、現代社会の問題としても取り上げられることの多い、精神疾患についてお話します。

 

ストレス社会と切っても切れない、精神疾患

現代社会は、経済的にもとても豊かになり、さまざまな技術が発達し、より便利で快適な生活が実現しています。
しかし、不眠や引きこもり、うつ病など精神疾患を患う方が多い「ストレス社会」ともいわれています。

 

ますます激しくなっていく競争社会、希薄な人間関係などから現代人は多くのストレスを抱え、それらが原因で「こころの病」にかかる人が増えています。

 

厚生労働省は、2011年にそれまで重点的に取り組んでいた「4大疾病」とされる、がん、脳卒中、心臓病、糖尿病に、新たに精神疾患を加えて「5大疾病」とする方針を決めました。

近年は、現代社会ならではの精神疾患の増加が社会問題となっています。

 

高齢者も発症する、高齢者うつ病

うつ病というと、どちらかというと若年~中高年の方の疾患というイメージが強いかもしれません。
しかし、高齢者でもうつ病を発症する「高齢者うつ病」というものがあります。
高齢者うつ病とは、高齢者特有の悩みからくるうつ病です。
高齢になると、体の衰えから自分の思うように体が動かない、年金などの経済的な不安、家族との軋轢、社会からの孤立感など様々な高齢者特有の悩みを抱えがちです。
こうした悩みを誰にも相談することができず、一人で抱え込んでしまうことから高齢者うつ病を発症してしまうのです。

症状としては、頭痛やめまい・吐き気・倦怠感・意欲低下・出不精になる・不安や焦燥感などです。物忘れなどもあり、認知症との見分けが難しく認知症と間違われてしまい治療が遅くなるケースもあります。

 

人とのつながりが、精神疾患の予防につながるかもしれない。

現代では様々な依存症、社会や人間関係に適応していくのに難しさを感じる人も多くいます。しかし、こうした現代社会のもたらした精神疾患の変化には薬物治療だけではなく、良好な人間関係や暮らしの環境が予防につながるかもしれません。

悩みを抱えている時には、しっかりと話を聞いてくれて否定や反論をせずに悩みを受け止めてくれる存在が必要です。

しかし、核家族が増え家族と離れて暮らす人が多い現代人。

子供が都会へと出てしまい、夫婦のみ・単身で暮らす人が多い地方の高齢者。

 

こうした方々の、悩みを受け止める「相談役」としての役割も総合診療医は担っています。

気になっていることを口にしていただけたら、何かしらのアドバイスをする事ができます。

 

地域のつながりの中に、医師が関わっていくことでより円滑な地域医療が進んでいく事を願っています。

 

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