Preloader
 

新カリキュラム

Home / 新カリキュラム / 新カリキュラム

2018年4月以降入学の学生向けカリキュラム

2018年4月以降入学の学生のための、卒業までに必要となるカリキュラムページです。

 

 

 

1年生時

基礎地域医療学

2018年度から新カリキュラムが開始されました。地域医療学講座は医学生1年生を対象にした「基礎地域医療学」を担当しています。この講義では、学生さんの医療体験(患者・家族として)と地域医療のつながりを考え、現場で使われる理論を結び付けながら理解していくことを目標にしています。
1年生では、まだ『医療者』という専門家としての感性というよりは『患者・家族』という方向性での感性が大きい時期です。学年が進むごとにそれが逆転していく傾向にありますが、1年生の段階で『患者・家族』としての体験を言葉にして、地域医療とのつながりを考え、それを残していく授業にしたいと考えています。また、今後のキャリアの選択肢の一つとしての総合診療専門医がどういうものなのか、学生さん自身とどうつながるのか学生さんと語り、考える場にしたいと思い、授業設計を行っています。
実際には、事前図書・課題をやってきて、授業に臨み、それを通して事後課題を行う形式をこの講義では採用をしています。事前・事後課題の提示・提出もmanabaを介して行います。知識について学ぶのは学生さん自身でやってもらい、みんなで集まるところでは議論やその知識を使うような授業内容になるようにできるだけ工夫しています。

シラバス
1回目 あなたはどんな医療を受けてきましたか?それを言葉にしてみよう!
2回目 なぜ「地域医療」を学ぶのか?
3回目 地域医療はどんな仕組みでやっているの?~医療・保健・福祉における職種とその役割~
4回目 地域医療に関わる医師の思考に迫ってみよう!
パート1~臨床推論から治療の決断まで~
5回目 地域医療に関わる医師の思考に迫ってみよう!
パート2~患者さんのために医療を届けるために~
6回目 地域医療のキャリアパス
パート1
7回目 地域医療のキャリアパス
パート2
8回目 「医療」と「地域医療」の同じ点、違う点を言葉にしてみよう!

 

 

 

2年生時

2年生時には地域医療学講座が主催する大学の講義等はありません。
カリキュラム外教育などはありますのでそちらに積極的に参加してみてください。

 

 

 

3年生時

総合診療(症候学)

概要

これまでなかなか学習機会のなかった以下のような内容を学ぶ予定です。
・症候学の総論:基本的な診断学のいくつかの理論についての紹介、ベイズの定理や事前事後確率などの日常診療での用い方
・症候学の各論:主要な徴候に対するアプローチの具体的な方法、模擬診察の経験

授業は講義+実習スタイルで行う予定です。

目的

・診断学の基本的な思考方法と理論がわかるようになること
・総合診療の現場で出会う主要な主訴の患者さんの問診がある程度できるようになること

取り扱う予定の主な症候 (変更の可能性があります)

・頭痛  ・発熱  ・めまい ・失神    ・全身倦怠感  ・不眠
・物忘れ ・腹痛  ・腰痛  ・悪心、嘔吐

皆さんは、フラフラするという70代男性がやってきたら、診察できますか?

研究室配属

プライマリ・ケアに関連する研究テーマを持って、地域の現場で実習を行います。本実習は、現時点では鳥取県特別養成枠の学生が優先的に受講することになっています。

これまでの研究テーマ

・2016年度(平成28年度)「理想の地域の医師像に関する質的研究」

・2017年度(平成29年度)「受診にかかる患者の負担に関する質的研究」

・2018年度(平成30年度)「抗菌薬の適正使用に関する実態調査」

・2019~2021年度(令和1~3年度)「米子市市街地在住の高齢者における生活実態と地区活動との関連」

・2022年度(令和4年度)「大山町の地域活動参加者の生きがいに影響を与える要因に関する調査研究」、「大山町の高齢者が社会参加により積極的になってもらうための方策に関する調査研究」

 

一般目標

・地域住民を対象とした情報収集・コミュニケーションを通じて、調査研究を実施し、成果発表ができる。

・さらに、コロナ禍に伴う新しい生活様式の普及が住民並びに学生自身のつながりおよび体と心に与える影響に関して考え、意見を述べることができる。(2020年度(令和2年度)に追加)

 

 

 

4年生時

臨床地域医療学

1年次の「基礎地域医療学」や3年次の「症候学(総合診療)」などを踏まえ、地域医療現場にて学生医、研修医として習得しておきたい内容(家庭医療学、総合診療、在宅医療、高齢者医療など)、より実践的な知識技能を学びます。

トピック

2022年に完成した「地域医療学ハンドブック」の内容に合わせて、地域医療に関連する各分野をカバーしています。

・プライマリ・ケアと地域医療
・生物心理社会モデルと複雑性への対処
・地域志向のプライマリ・ケア
・地域医療に関わる職種・施設・制度
(外部講師による特別授業)
・プライマリ・ケアと家庭医療:松下明先生(奈義ファミリークリニック)
・高齢者医療と地域包括ケア:秋下雅弘先生(東京大学老年病科)
・保健行政と地域医療:片岡大輔先生(島根県健康福祉部健康推進課)

地域医療体験

『翌年からstudent doctorになる4年生に、様々な医療・福祉現場(クリニック、病院、老人保健施設、在宅など)に出かけてもらい、医療の専門家の方々が患者さんや家族、住民さんなどと関わる場面を体験できます。1年生のときの早期体験実習のときと比べて、医療のことについて学んでいるため自身の成長を実感していることを言葉にする学生さんも多いです。

実習先

当院周辺の約50医療機関
日野病院(日野郡)、西伯病院(西伯郡)、山陰労災病院(米子市)、魚谷眼科医院(米子市)、野坂医院(米子市)、森本外科医院(東伯郡)、藤井政雄記念病院(倉吉市)、鳥取市立病院(鳥取市)、栄町クリニック(鳥取市)、渡辺病院(鳥取市)、智頭病院(八頭郡)、岩美病院(岩美郡)、日立記念病院(安来市)、松江市立病院(松江市)など。実習先は、全ての学生が様々な診療機能などを有する機関を体験できるよう、工夫しています。

ポートフォリオの提出

電子ポートフォリオを利用して、学生さんの学びのサポートをしています。実習に行った後、そこで体験したこと・感じたこと・次に何をするか?をインターネット上にあるプラットフォームに記述し、それについて教員がフィードバックを行います。そのサイクルを回しながら、地域医療の現場での学びを学生さん自身のものにしてもらいたいなあと考えて運用をします。

2015年度からは「患者中心の医療」を大きなテーマに掲げました。教員自身の振り返りを元に、2018年度からは医療人類学という学問の研究方法の一つである参与観察をオリエンテーションで学んでから、実習に出るようにしています。医療人類学については、以下の資料をご参照ください。

Ⅰ.医療人類学についての動画(12分程度)
東京交通短期大学の濵雄亮先生の動画
https://drive.google.com/file/d/1ZFWIyFmhhY4MCamBWQw5SS0qvBY-3BS9/view

Ⅱ.医療人類学の記事
川崎医療福祉大学の飯田淳子先生の週刊医学界新聞の医療人類学についての記事
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03119_01

2017年度(平成29年度)のスケジュール
第1~2週 導入、オリエンテーション: 2017年は映画を見て議論(シネメデュケーション)、患者中心の医療に関する説明、など
第3~6週 合計4機関で実習(毎週水曜日)
金曜日までにポートフォリオ記入
第7週 総括、最終ポートフォリオ作成
終了後 意見交換会(一部学生、教員、現場の医師)
電子ポートフォリオの記載について
辻田耳鼻科での実習

 

2018年度(平成30年度)以降

スケジュールの大枠は現行通りですが、毎年カリキュラム評価を行い、目標設定(患者中心の医療の枠組みを使うかどうかも含め)、方略などを年度ごとに工夫して参ります。

 

 

 

5年生時

臨床実習Ⅰ

2016年度(平成28年度)まで6年生のみ選択だった地域医療学講座の臨床実習ですが、2017年度(平成29年度)から5年生全員が受講することとなり、当教室が日野病院(地域医療総合教育研修センター、日野町)と協力してプログラムを作成、2019年4月からはおよび大山診療所(家庭医療教育ステーション)も加わり、2施設での実習体制となりました。

日野病院または大山診療所のどちらかで、実習を行ってもらいます。診療を通じて、基本的な診療技能を向上させることに主眼をおき、指導医と振り返りながら受講者に自らの成長と課題を出来る限り言語化してもらいながら進めております。また診察室以外での取り組みも行う予定としています。

行動目標
    1. (1)外来ないしは在宅診療において、主要な訴えに対する適切な問診、身体診察をそれらの目的を意識しながら実施できる。
    2. (2)型に沿った診療録を自ら作成し、アセスメント、プランを含め指導医に説明・提案できる。
    3. (3)各場面において自分が感じたこと、課題などをその場で言語化して、教員とともに省察できる(省察的実践家)。
    4. (4)将来の医師として、その場に応じた態度(身だしなみ・礼節・口調・受け答えなど)をとることが出来る。
    5. (5)地域住民や他職種スタッフとのコミュニケーションを通して、日野病院周辺における地域課題や医療機関・医療者に求められるニーズに気づき、言語化することができる。
ある学生のスケジュール例
曜日 集合場所 時間 担当教員 実習内容
月~金午前中 日野病院2Fセンターまたは大山診療所 初日集合時間8:30~17時頃 講座教員 オリエンテーションおよび見学型実習から、参加型実習を行う。
新患患者、再診患者の診察を行ったり、入院患者の方針などもアセスメントしていく。
院外活動が入ることもある。
金午後 地域医療学講座・教官室 15:00頃~17:00 講座教員 1週間の振り返り。特に印象に残ったケース、場面、学習のプロセスを記述する。大山診療所で実習した学生の経験の共有も行う。
指導医の監督のもと胃瘻交換を行う
毎日の振り返り
大山診療所

実習のオシ!

大学病院とは違った患者層、疾患に向き合うことでcommon diseaseに慣れてもらう。
処置や診察は(勉強をしている前提で)やる気次第でどんどん経験してもらいます(指導医がバックにつきます)。
宿泊も完備しており、プチ合宿気分が楽しめます。
地域医療最前線の病院の実習で鳥取県の郡部に(少しは)詳しくなれます。

 

 

 

6年生時

臨床実習Ⅱ

地域医療総合教育研修センター(日野病院)および家庭医療教育ステーション(大山診療所)での総合診療実習
―総合診療の力を育てる:面接・診察・推論・治療立案まで一人でおこなう―

概要

地域医療学講座では、日野病院にある地域医療総合教育研修センターおよび大山診療所の家庭医療教育ステーションを拠点にして選択臨床実習総合診療実習を提供しています。

日野病院では、入院患者さんを担当してもらい、問診・診察を通して問題点をあげて、検査や治療計画を立案しながら指導医とディスカッションをして、治療方針を決定してもらいます。臨床における知識や考え方だけではなく、患者の抱えている背景なども考慮したマネジメントが求められます。事前に準備した上で、患者さん・家族さんとの面談なども指導医同席のもと行ってもらいます。

大山診療所では外来・訪問診療がメインとなります。新患や再診の患者さんの診察を通して、家庭医の考え方を学んでもらいます。訪問診療では患者さんの生活背景をしっかりと見ながら在宅医療の魅力や役割について考えたり、経験をしてもらおうと思います。

両施設とも、見学型ではなく参加型がメインの実習です。指導医がしっかりとサポートをしますが、わからないことを自分で調べていく自主学習も求められます。また希望者には宿泊施設を提供します。機会があれば健康教室などの地域活動にも取り組んでもらいます。

与えっぱなしの実習ではなく、振り返りも毎日行います。現場で感じたもやもやや、臨床疑問を指導医・学生医とディスカッションを行い、オンライン上で情報共有も行います。1ヶ月の短い実習ですが、初期研修医になった時に役に立つ考え方、マネジメントの仕方を学んでもらえると思います。ご質問がありましたら、地域医療学講座までお問い合わせください。

毎日の振り返り
多職種カンファでプレゼン
病棟カンファで担当する患者さんのことをプレゼンテーション
毎日こういう風に指導医と振り返りがあります

 

総合診療実習を受けた学生の声

実際に実習を受けた学生からは、これからの学生さんに以下のようなエールをもらっています。辛い部分も受け入れ、成長したい意思のある学生とともに学んでいきたいと考えています。


日野病院では問診・診察・アセスメント・プランまで任せてもらえます。つまり、大学での実習とは違い、ほとんど主治医として患者さんと関わることになります。
自分が診療に参加できるので実習は本当に楽しく、とても勉強になります。
しかし、参加させてもらうからには責任が生じます。学生が全責任を負うことはありませんが、自分が評価したアセスメントやプランには責任を持つことになります。ちゃんと調べたつもりでも、自分が決めたことがそのまま患者さんに適応されるので、どんな些細な決定でも怖いし不安になります。
慣れない環境に戸惑い、自分の無力さや無知を痛感することも多々あるでしょう。楽しいこと、つらいこともありますが、この実習ではすぐには消化しきれないほど多くの学びや気づきが得られます。鳥大の中でも少数の人しか経験できないこの実習を是非、有意義に過ごしてください。応援しています。

学生の皆さんへにもどる