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712月 2020

コロナ禍での学び

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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コロナ禍でいろいろと不自由なことが続いている。職場では患者さんと家族の面会が自由にできないこと。家族と面会ができないから認知機能が落ちる、終末期の患者さんだからこそ家族に会ってもらって最後の時間を過ごしてもらいたい……いろいろと悩みは尽きない。勿論医師・看護師を含めた職員の不安もまだまだ残る。

プライベートなところだと旅行や出張に行けなくなってしまったことだろう。もともと旅好きな小生は、家族とともに様々なところに行っていたがコロナ禍でそれも自由にできない(職場の規定で感染流行地域に行くことがまだ許されない)。

英国の総合診療を見学するような学生向けの研修も以前はしていたが、中止。果たして次回行けるのはいつになるやら……である。年老いた両親や妻の実家に孫の顔を見せられないのも申し訳ない思いだ。

 

 

コロナ禍から得たプラスの学び

マイナス面ばかり見てもしかたない。プラスになったこともある。

よく引き合いに出されるが、オンライン化されていることはメリットにもなっている。田舎、鳥取にいると都会でやっている勉強会や学会に参加することは移動だけで一苦労だったが、コロナ禍のために様々なことがオンラインで参加できるようになった。勉強会にしろ、同窓会にしろ、自宅のリビングから参加できるのは嬉しいところ。ただ、オンライン会議・オンライン勉強会・オンライン飲み会と続いてしまうと、人間やはり慣れは良くないのかやはり時々は人と直接会ったり、遠くの会場でやっている学会に直接参加したくなる。

コロナ禍で変わったことは他に無いだろうか。そう考えると地元や鳥取をより詳しくなったのも副次的な収穫なのだろう。県外に出れない分、鳥取県内の有名無名な観光地を訪れたり、普段は行かないようなスポットへ訪れたり。何なら家にいる時間も増えたため、散歩の時間や町内のイベントにも意識的に出るようになった。そうすると当然ながら今まで車でしか通ってこなかったところの街歩きなので、違った発見があったり、町のイベントで得られたのは、それまで知らなかった町の良いところである。自然や歴史といった常日頃からすぐそばにあったはずなのに、気づかずにスルーしていたものに気づけたのもコロナ禍での学びなのだろう。

 

 

コロナ禍がもたらす未来の変化に備えて

今後、コロナがいつか落ち着いたら、我々の生活は元の生活に戻るのだろうか。そう問われるとおそらくそうではなく、便利さがさらに追求される可能性もある。やっぱりオンラインミーティングは便利だということになったり、必ずしも東京に本社を保つ必要がない企業も出てくるだろう。

オンラインでの会議を小生が企画することとなり、ZoomやGoogle Meet、Microsoft Teamsなどのツールを用いて参加者にそのやり方を伝えることとなった。対象となった参加者は普段アナログで生活をしているためこれがまた難しい。小生も直接会って話をしながら手取り足取りという形であればさほど問題はなかっただろうが、遠隔地であったこともあってLINEを使って文字と会話をしながら進めるのだがなかなか大変である。自分の父母ほどの年齢の方なので、パソコンも普段の生活で触ることもないのかもしれない。メールアドレスを調べるところからスタートし、カメラの確認、マイクの不具合などなど、ハードルを一つ一つ乗り越えて時間をかけながら丁寧に行い、なんとか会議の開催にまで至った。

今や病院の現場で電子カルテでないところのほうが珍しくなっているが、こういう状況を見ると導入当初は大変だったんだろうなと改めて感じる。小生が病院に出入りするようになった医学科の学生時代には既に電子カルテが導入されており(大御所Drの一昔前の紙カルテを見ながら解読のために時間を必要とすると、つくづくこの時代の医師でなくてよかったなと思ってしまう)、全く困ること無く電子カルテに接しているが、紙カルテで慣れた人たちが電子カルテに移行するときは、おそらくオンライン会議を初めて使う時以上に現場は大混乱だったんだろうと思う。

前述の会議参加者の皆様は、この新たなコミュニケーションのツールを使いこなしたいという熱情で取り組んでいた印象だった。慣れないスマホに戸惑う母親の姿を苦笑した若き自分を少し恥じる。「子ども叱るな皆来た道 年寄り笑うな皆ゆく道」―その母の姿は何十年先のニューテクノロジーに悪戦苦闘する自分の姿なのかもしれない。若い世代についていけるよう世の中のトレンドを察知し続けたい、そう思ったアラフォーの一年だった。

 

Author: 李 瑛


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