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67月 2020

お酒の飲み過ぎにはご注意

鳥取大学地域医療学講座発信のブログです。
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若手医師の仕事の一つに当直があります。

小生は医師になってからこの当直がなかったことはほぼありません。
たとえば1ヶ月の院外研修(診療所とか施設とか、自分が所属していない病院での研修)の間は当直が免除になることがありましたが、それでも1ヶ月まるまる当直をしなかったことはおそらくなかったと記憶しています。

当直といえば、どんなイメージでしょうか?
医療系のドラマを見る機会が多くなっているので、イメージが伝わると思いますが、多くの場合は救急外来の対応が多いと思います。

例えば発熱で受診、腹痛で受診、交通事故で救急車、などなどいろいろな形での受診があり、そうした患者さんへの対応にあたります。救急外来の当直以外にも病棟の当直というのもあります。

入院中の患者さんの急な対応を行います。病院規模によっては外来の当直と病棟の当直を掛け持ちすることもありますが、この辺は集中治療室の設置を行っているかどうかなどの施設基準があります。

医学生が卒業した後にまず研修医になるわけですが、その研修医の最初の関門がこの当直だと言えます。

一般的に、研修医が行う当直は外来の当直であり、そこでの対応は、日中よりも相談できるスタッフの数や検査に限りがあるため、研修医にとってはサポートも手薄になる中で、自分で考えて行動する機会が圧倒的に増えます。そういう意味では勉強せざるを得ない環境です(もちろんセーフティネットはあるのですが)。

 

 

一晩の飲酒で変わってしまう生活

さて、小生が以前勤めていた地域は、それはそれは飲酒が多い地域でした。

良い意味では飲みニケーションが発達していて、コミュニケーションは取りやすいのかもしれませんが、多量飲酒者が他地域に比べて非常に多いことも事実でした。

そうすると、当直や救急外来に来る患者さんの中には飲酒関連の主訴がありました。

厚労省の資料によると救急外来受傷患者の6~34%が飲酒関連であるとの報告があります(アルコール健康障害対策 救急医療の現場からhttps://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12205250-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kokoronokenkoushienshitsu/s_1_28.pdf  )。

地域によるとも思うので、少しこの数字がどこまで一般論として語れるかは難しいところですが、救急外来受診患者さんへの飲酒の影響は大きいものがあります。

圧倒的に多いのは外傷、つまり怪我です。酔っ払って転んだ、といった軽いものもあれば、転倒から頭部打撲し硬膜下血腫になって手術になるケースや、ふらふら歩いていて車にはねられた、など様々なケースがあります。小生の担当していた患者さんたちの中にも、「酒さえ飲んでなければこんなことには……。」と言う方も多々いらっしゃいました。

 

 

飲酒と上手く付き合う

小生も人との交流が嫌いではなく、飲みニケーションが好きな人間に入るので、飲酒自体を否定するつもりはありません。

酒は百薬の長という有名な言葉もありますが、少量の飲酒が健康に寄与する、という報告は以前からあります。厚労省のHPにもそのような内容で書かれています。

しかし、酒は百薬の長 されど万病の元、という言葉にもあるように飲酒がもたらす疾患は数多くあり、最近では少量の酒も体への影響があり、健康に良いのはアルコール0という結論を出した研究が話題になっていました。

(Alcohol use and burden for 195 countries and territories, 1990–2016: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2016)

 

こうしたことを踏まえても、なかなか外来ですべての患者さんに「お酒は一滴でも身体に悪いので飲んじゃいけんです」とは言えないのも実際です。

飲酒による人とのつながり、コミュニケーションがもたらしている効能もまた、無視はできないですし、それを生きがいにしている人もたくさんいらっしゃるからです。

節度ある適度な飲酒の量は1日平均アルコール20g程度とされており、これはビールだと500ml1本、日本酒は1合、チューハイは7%で350ml となっています。

これをご覧の皆さん、楽しく飲むことはいいですが、飲み過ぎにはくれぐれも注意してくださいね。

Author: 李 瑛


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